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寒冷蕁麻疹について①

2020.03.16

投稿者
クミタス

寒冷蕁麻疹は冷たいものに接した部位、または全身に膨疹が誘発される蕁麻疹で、冷水や氷、冷えた個所に触れたり、寒い風の刺激を受けることで小豆大ほどの膨疹を生じ、強い痒みと赤みを伴います。
寒冷蕁麻疹は寒い季節には薄着で室外に出ることで誘発されたり、また冬季でなくても水泳時にショックをおこしたりクーラーが原因となることがあり、寒冷刺激を受けてから十数分内ほどで症状出現し、数時間後には膨疹は自然に消えてしまうことが多く皮膚に痕を残すことはありませんが、数か月から数年の間繰り返すことがあります。

19歳大学生(男性)。他院での誘発試験で食物依存性(エビ、小麦)運動誘発アナフィラキシーと診断された既往があり、また以前から冷たい雨にぬれたり冷たい床の上を歩くと蕁麻疹が認められていた。
白米、納豆、卵を摂取し、2時間後に大学実習でプールに入り、約15分後に意識が消失した。近医に救急搬送されたが全身に膨疹を伴い、アナフィラキシーショックの状態だった。その後、氷による寒冷誘発試験で膨疹が出現し陽性。IgE−RASTと皮膚プリックテストでは食物抗原は全て陰性であった(出典・参照:プールに入りショック状態に陥った寒冷蕁麻疹の一例)。

増悪に感染症が関与することがあり、冷凍食品を膝に乗せた後や、氷を食べた後に、接した部位に一致して膨疹が出現するようになった23歳女性において、同居男性がマイコプラズマ肺炎に罹患し、その後本人も発熱、咽頭痛、咳を生じ、同時期から膨疹が拡大したため精査したところ、Ice cube test 陽性となり寒冷蕁麻疹と診断された例の報告もあります(出典・参照:非定型肺炎により増悪した寒冷蕁麻疹の1例)。

寒冷蕁麻疹においては寒暖の差をなるべく作らず、体を冷やさないようにすることが予防策となり、物理性蕁麻疹としての治療として、抗ヒスタミン薬などが使用されます。
血管炎、慢性リンパ球性白血病などの基礎疾患をもつ寒冷蕁麻疹、またCIAS1が原因遺伝子と考えられ自己炎症性疾患の1つに分類される家族性寒冷蕁麻疹などもありますが、また別途掲載したいと思います。

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