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ロクロニウム(筋弛緩薬)によるアレルギー

2020.04.08

投稿者
クミタス

2007年10月に発売された非脱分極性筋弛緩薬であるロクロニウムにおいては、今までにもアナフィラキシー症例が報告されており、日本国内では、筋弛緩回復薬のスガマデクス、筋弛緩薬のロクロニウム、抗菌薬はアナフィラキシーの原因となる頻度が比較的高いところでもあります。

心臓が標的臓器となるアナフィラキシーを生じることがあり、アレルギー反応に起因した急性冠症候群の例も見られています。
・ロクロニウムによるアナフィラキシーが冠動脈攣縮で発症したと考えられるKounis症候群
内頚動脈内膜剥離術の予定手術患者にレミフェンタニル、プロポフォール、ロクロニウムで麻酔を導入したところ、心電図上ST上昇を認め、高度循環虚脱となった。直ちに循環虚脱に対する治療を行ったが、その後全身性皮膚紅潮を認め、薬物によるアナフィラキシーが疑われ、後日の皮膚テストなどでロクロニウムによるアナフィラキシーと診断された。本症例はアナフィラキシーが冠動脈攣縮で発症し、呼吸器所見がなく、皮膚症状の発現が遅かったことが特徴であった。
アナフィラキシーと急性冠症候群
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/2848

小児での例もあり、
15歳男児。急性虫垂炎の手術麻酔導入でフェンタニル、レミフェンタニル、プロポフォール、ロクロニウムを投与。5分後から全身の紅斑、換気不良、血圧低下をきたしアドレナリン投与となった。後日プリックテストで、ロクロニウムのみ陽性であり、ロクロニウムによるアナフィラキシーショックと診断された報告もなされています。

ロクロニウムによるアナフィラキシーに対して筋弛緩回復薬のスガマデクスの投与が有効であった例も報告されていますが、麻酔導入時にロクロニウムが原因と推測されたアナフィラキシーに対してスガマデクスを投与後に喉頭痙攣を生じた例も見られています。

第4級アンモニウムイオンを有する筋弛緩薬においては、日常使用する機会のあるシャンプーや歯磨き剤中の成分と交差反応を起こすことがあり、筋弛緩薬の投与以前に交差反応性のある物質に経皮感作などを起こしている可能性もあります。筋弛緩薬の交差反応性、筋弛緩回復薬による反応については、また別途掲載したいと思います。

出典・参照:成田 湖筍, 金澤 正浩, 鉄 周平, 安藤 智子, 福山 東雄, 鈴木 利保, 麻酔導入時に冠動脈攣縮で発症したロクロニウムによるアナフィラキシーショック(Kounis症候群)の1例, 日本臨床麻酔学会誌, 2012, 32 巻, 7 号, p. 923-928
ロクロニウムによるアナフィラキシーショックを呈した一例

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