衣料用柔軟仕上げ剤など残香性の高い加香剤商品においては、その香りを好む方がいらっしゃる一方、香りにより頭痛、吐き気などの体調不良を訴える方も少なくなく、国内でも「柔軟仕上げ剤のにおいがきつくて頭が痛くなる」などの相談情報が毎年一定程度(全国消費生活情報ネットワークシステムに年間 130~250 件程度)寄せられています。
2014年4月~2020年1月31日までに登録された相談件数928。うち症状があったと申し出た594件のうち不明25件を除く569件の内訳
症状等の申し出内容
呼吸器障害 107件 19%
皮膚障害 24件 4%
感覚機能の低下 9件 2%
消化器障害 7件 1%
中毒 3件 1%
その他の傷病及び諸症状 419件 74%
申し出内容について医者の治療を受けた期間(不明229件除く(n=365))
1カ月以上 37件 10%
3週間~1カ月 6件 2%
1~2週間 4件 1%
治療1週間未満 32件 9%
医者にかからず 286件 78%
TRP(Transient Receptor Potential)チャネルは、感覚刺激のセンサーとして機能しているとみられ、TRPチャネルの1つであるTRPA1チャネルは、気道過敏性の亢進にも関与する可能性が考えられています。
TRPA1チャネルは、香料成分によっても活性化され、気道過敏性の亢進を引き起こす可能性が考えられていますが、
市販の高残香性衣料用柔軟仕上げ剤を対象として、それぞれの製品2gから抽出した揮発性成分メタノール抽出液について、TRPA1に対する活性化能を評価した結果、20製品中18製品が濃度依存的に溶媒対照群の2倍以上の活性化を引き起こすことが判明。さらにメタノール抽出液のGC/MS分析結果より、Limonene(リモネン)や Linallol(リナロール:スズラン、ラベンダー、ベルガモット様の芳香。工業的に合成可能)の他に、Dihydromyrcenol、Benzyl acetate、n-Hexyl acetate、Rose oxide(ローズオキシド:バラ様の芳香)、Methyl ionone 等の存在が推定され、これらの中で、Linalool 及び Rose oxide が TRPA1を活性化するとみられた。
また、欧州連合の化粧品指令でアレルギー物質としてラベル表示を義務付けられた香料成分のうち植物エキス等を除いて評価可能であった18物質中9物質において、濃度依存的に TRPA1の活性化を引き起こす結果がみられ、なかでも、2-(4-tert-Butylbenzyl) propionaldehyde による TRPA1の活性化の程度は、陽性対象物質である Cinnamaldehyde(シンナムアルデヒド:シナモン特有の匂い)に匹敵するとみられた。
など、香料成分により TRPチャネルの活性化を介して気道過敏性の亢進を引き起こす可能性も考えられています。
柔軟仕上げ剤の香りを長持ちさせる工夫として、香りをマイクロカプセル化したものが採用されている製品もあり、一定レベルの香りが長時間、環境中に存在し続ける場合もあります。
2020年3月2日、日本石鹸洗剤工業会より「会員社の香料成分の自主的な開示の際の指針について」にて、具体的な香料成分名の自主的な表示に際し、製品に意図的に配合された 0.01%以上の香料成分を開示する場合の指針を定めています。すでに香料成分名が表示されている製品もありますが、具体的な香料成分と体の不調に関しては今後も掲載していきたいと思います。
出典・参照:独立行政法人国民生活センター 柔軟仕上げ剤のにおいに関する情報提供(2020 年)
香川(田中)聡子、大河原晋、神野透人 国立医薬品食品衛生研究所生活衛生化学部 九州保健福祉大学薬学部 「家庭用品中の香料成分によるヒト侵害受容器TRPA1の活性化 」「香料アレルゲンによるヒト侵害受容器TRPA1の活性化」
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