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2020.05.15
耳下腺炎は耳の下のあたりの唾液腺が腫れる、圧痛、嚥下痛、発熱が主症状となる疾患で、流行性耳下腺炎はおたふくかぜとしてご存知の方も多いことと思います。
初期症状として発熱、頭痛、四肢の筋肉痛から始まり、耳下腺を以外に甲状腺、睾丸、卵巣、膵臓などの腺性臓器に臓器障害を引き起こすことがあり、髄膜炎や脳炎の合併には注意が必要になります。
流行性耳下腺炎はムンプスウイルスが、耳下腺炎、反復性耳下腺炎はコクサッキーウイルス、パラインフルエンザウイルスなどが発症原因に挙げられますが、アレルギー性の耳下腺炎もあります。
・食物アレルゲンが原因となるケース
食後や食事中に唾液腺痛、顎下部、耳下腺、頬粘膜等の腫脹、かゆみ、痛みなどが出現。唾液中に多数の好酸球が認められ、CT、エコー検査にて耳下腺内の導管拡張所見がみられ、食物経口負荷試験で原因食物摂取により耳下腺の腫脹が誘発。
例:タマネギでの報告、また鶏卵にアレルギーのある児での鶏卵が原因と考えられる報告もあります。
・吸入アレルゲンが原因となるケース
口呼吸により吸い込んだアレルゲンが口腔内に貯留して拡張した導管から逆流するなどにより耳下腺炎を生じる。
例:花粉症により鼻閉が出現した後にしばらくして耳下腺が腫脹
アレルギー性の耳下腺炎においては、蕁麻疹や、呼吸困難を伴うアナフィラキシーなどを生じることもあります。日本では線維素性唾液管炎での報告がなされていますが、欧米では線維素性唾液管炎はアレルギー性耳下腺炎と同一のものとして、またはその一部として検討された報告が多い傾向があります。
アレルギー性の耳下腺炎のコントロールにおいては、原因食物の除去、抗アレルギー剤の使用による良好例などが挙げられています。今後も国内での報告例含め情報をアップデートしていきたいと思います。
タマネギによる反応、アレルギー反応例
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/2871
線維素性唾液管炎について
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/2401
出典・参照:浅田洋司、高橋安佳里、山村菜絵子、田澤星一、菅原典子、久保田由紀、小澤恭子、田中佳子、永野千代子 (仙台赤十字病院 小児科)加藤晴一 (かとうこどもクリニック) 興味あるアレルギー性耳下腺炎の1例 ほか
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