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アトピー性皮膚炎における眼合併症 6.10更新

2020.05.21

投稿者
クミタス

かゆみなどから、目、まぶたをこすることで以下などを生じることがあります。
・結膜浮腫、眼瞼浮腫を生じる
・充血や結膜下出血を生じる
・目に異物が入っている状態では角膜を傷つけ、角膜びらんを生じることがある
・流行性角結膜炎など感染性の結膜炎の場合、こすっているうちに感染していない目も感染してしまうことがある

アトピー性皮膚炎で顔に症状のある方などにおいては、慢性的に顔にかゆみを生じやすく、まぶたや顔を日常的にこすっていたり、強く叩いたりすることで、眼瞼皮膚炎、角結膜炎、円錐角膜、白内障、網膜剥離などの合併症を生じることがあります。

2012年~2015年に大学病院皮膚科を受診したアトピー性皮膚炎患者さんのうち、同意が得られた70人(140眼。男性45人、女性25人。4~60歳)において、問診後に視力、眼圧、細隙灯顕微鏡と眼底検査を行い、アトピー性皮膚炎に関連する眼合併症の有無を調べ、当該院で1991~1993年に同様の方法で調査したアトピー性皮膚炎患者さん280人530眼と比較したところ、
2012年~2015年に大学病院皮膚科を受診したアトピー性皮膚炎患者さんの対象者のうち
白内障は23眼(16%)で、
1991~1993年に大学病院皮膚科を受診したアトピー性皮膚炎患者さんの対象者のうち
133眼(24%)と比較して有意に少なかった(p<0.05)。

網膜および毛様体裂孔は1991~1993年に受診のアトピー性皮膚炎患者さんの対象者で22眼(4%)にみられ、2012年~2015年受診のアトピー性皮膚炎患者さんには認められなかった(p<0.01)(ただし治療歴は4眼(2.9%)にみられた)。
網膜剥離は1991~1993年受診群が12眼(2%)で、2012年~2015年受診群にはなかったが(p<0.01)、治療歴は2眼(1.4%)にみられた。なお、免疫抑制薬であるタクロリムス軟膏は1991~1993年受診群には使用されていなかったが、2012年~2015年受診群では、44人(63%)に使用されていた。
などの報告がありますが、アトピー性皮膚炎に伴う眼合併症の頻度は減少している傾向もみられています。

アレルギー性結膜疾患においては、アレルギー性結膜炎、アトピー性角結膜炎、春季カタル、巨大乳頭結膜炎での分類がなされています。
アレルギー性結膜炎は眼のかゆみ、充血、流涙、異物感、眼脂がみられ、結膜でのI型アレルギー反応があり、春季カタルは春から夏に悪化する傾向があり、比較的子どもで多くみられる重症のアレルギー性結膜炎で、点状表層角膜症、角膜びらん、潰瘍、角膜の混濁、血管侵入の合併、視力低下への影響があります。
アトピー性角結膜炎はアトピー素因を持つ患者さんにおいて結膜だけでなく角膜にも障害を及ぼす疾患になり、長期に渡りまぶたに皮膚炎を生じている方で、重症の角膜炎をおこす方が多い傾向が見られています。
重症のアトピー性皮膚炎患者さんにおいて、アトピー性角結膜炎を発症しない方もいらっしゃいますが、遺伝的素因含め、アトピー性角結膜炎について、別途また掲載したいと思います。

出典・参照:アトピー性皮膚炎にみられる眼合併症の再検討

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