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鮎による反応

2020.05.27

投稿者
クミタス

鮎を摂食してアレルギー症状、また吸虫が多く寄生したアユを摂食し、消化器症状が出現することがあります。

・アレルギーと考えられた例
昼食時、琵琶湖の小鮎あめ煮を2尾摂取直後に胃痛が出現し、胃薬を内服した。1時間後に顔面に瘙痒伴う発赤が出現し、呼吸困難となり救急搬送された。
食材について皮膚テスト、血清検査による原因検索を行ったところ、皮膚プリックテストでは琵琶湖のコアユ、エビ、カニ、イカで陽性、一般的なアユや他の魚類は陰性であった。抗原特異的IgEではエビ、カニ、ダニ、ガ、ユスリカ、ゴキブリに陽性を示したが、アレルゲンコンポーネントであるGad c 1(タラのパルブアルブミン)、Pen a 1(エビのトロポミオシン)は陰性、ELISA法ではコアユ、アユ、マサバの抽出液、マサバのパルブアルブミン、マサバのコラーゲンにおいては反応はみられなかった(出典・参照:林 綾乃, 深井 和吉, 小林 征洋, 琵琶湖のコアユによるアナフィラキシーの1例, アレルギー, 2020, 69 巻, 3 号, p. 209-212,)

・横川吸虫症
清流に棲息するカワニナ(巻貝)の体内で孵化した横川吸虫 Metagonimus yokogawaii は、アユ、 ウグイ、シラウオなどの淡水魚や汽水魚の体内に侵入し、幼虫(メタセルカリア)に変態します。アユ、 ウグイ、シラウオの刺身や生焼きを摂食して、一定量以上のメタセルカリアがヒトの小腸粘膜に吸着して寄生すると、腹痛、腹部膨満感、下痢、粘血便が出現します。また、まれに蛋白漏出性胃腸症を起こすこともあります。
ヒトではメタセルカリア摂取後、10日前後で産卵開始、成虫の寿命は 1~3 年ほどとみられていますが、吸虫駆除剤(プラジカンテル)の1~2回使用で陰転したとの結果が見られています。アユをマイナス 3℃で冷凍すると、アユ中のメタセルカリアの運動性が低くなり、運動性は24時間後では65.5%ほど、48 時間後は15%ほどになっていたとの結果も見られており、生食、不十分な加熱を避けること、冷凍保存は発症予防上有用となり得る面があります。
また川魚をつかんだ手に幼虫が付着したり、まな板や包丁に付着して感染することがありますので、洗浄、加熱には心がけるのが望ましいでしょう。

鮎を摂食しての症状例については今後も掲載していきたいと思います。

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