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マダニ咬傷によるアレルギー

2020.06.12

投稿者
クミタス

人でのマダニ咬傷による反応については以下でも掲載していますが
赤肉アレルギーとマダニ咬傷
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/1258
マダニ咬傷によるアレルギー例について取り上げたいと思います。

■マダニ咬傷時にマダニを指でつまむ、引っ張るなどの刺激を加えることでの症状誘発可能性
猟犬の飼育歴があり獣肉アレルギーの既往のない山間部在住の74歳男性。1年前に鼠径部のマダニ刺症後に鼠径から大腿部にかけて瘙痒性皮疹を生じ、マダニ脱落後に自然消退した。その後、草刈り後に下肢に瘙痒性皮疹が出現し全身性に拡大した。腹部にマダニを発見し、自己除去した直後に呼吸困難感、胸痛が出現し救急搬送された。
1か月後、陰囊部の瘙痒を自覚し同部にマダニを発見し、搔破にてマダニが脱落した直後に全身性の瘙痒、呼吸困難、胸痛を自覚した。Galactose-α-1、3-galactos(eα-Gal)特異的 IgE 抗体は class 2 であり、いずれのエピソードもマダニアナフィラキシーと診断された。
搔破時やマダニを除去しようとした際に、マダニに刺激を与えたことにより、マダニ唾液中の α-Gal が大量に皮内に注入されたことで発症した可能性が考えられており、マダニアナフィラキシーの既往のある患者さんにおいては、マダニ咬傷時にマダニを指でつまむ、引っ張るなどの刺激を加えることで、強い症状が誘発される可能性が示唆されています。

主にウイルスを保有しているマダニに咬まれることにより感染する重症熱性血小板減少症候群 (Sever fever with thrombocytopenia syndrome: SFTS)は、毎年日本で60~90人前後での発症が確認されており、ほかにもマダニが媒介する感染症に日本紅斑熱、ライム病などもあります。
マダニを発見した際は、無理に引き抜こうとするとマダニの一部が皮膚内に残って化膿したり、マダニの体液を逆流させてしまったりする恐れがありますので、受診しマダニの除去、洗浄などができるのが望ましいでしょう。

またマダニに咬まれた状態であることに気が付かず入浴し、症状出現、アナフィラキシーに至る場合もあり、運転中に発症したケースもあります。
まずはマダニに咬まれないよう、暑くなってきた時期ではありますが、山林、畑、あぜ道などの野外では足、腕、首などの皮膚露出程度を抑え、忌避剤を併せて使用したり、また家の中にマダニを持ち込まないよう、ガムテープを使って服に付着していないか確認するなどの対処もできると良いかもしれません。

「マダニ対策、今できること」
https://www.niid.go.jp/niid/images/ent/PDF/190730madanitaisaku.pdf

出典・参照:藤川 愛咲子, 竹尾 直子, 中田 京子, 安西 三郎, 福田 晴香, 岡田 憲広, 竹中 隆一, 坂本 照夫, 米津 圭佑, 油布 邦夫, 波多野 豊, マダニの自己除去直後に生じたマダニアナフィラキシーの 1 例, 西日本皮膚科, 2020, 82 巻, 2 号, p. 99-102
マダニ咬傷でアナフィラキシーになった3例

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