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楽器とアレルギー~ヴァイオリンの例

2020.09.04

投稿者
クミタス

金管楽器奏者において金属アレルギーの症状が出現することがありますが、楽器の製作者や奏者において、接触性皮膚炎やアレルギーを生じることがあります。
今回は、ヴァイオリンにおける事例、原因物質についてお送りします。

ヴァイオリンにおいては、木材、金属(ニッケルなど)、ニスの成分、弓毛、松脂などが、症状出現の原因物質となることがあります。
ヴァイオリン制作者にて、ニスにアレルギー性接触性皮膚炎を生じたと考えられた例では、灼熱感、掻痒感のある皮疹が、眼瞼、左耳、前腕、手に出現し、皮膚プリックテストでは、コロホニウム、松脂の成分であるアビエチン酸(Abietic acid)、仕上げに使用のプロポリスに陽性反応であった例、
ヴァイオリン奏者におけるロジン(松脂)、ニッケル、紫檀によるアレルギー性接触皮膚炎の例などが見られています。

症状出現有無には個人差がありますが、原因となる可能性のある物質例としては以下等が挙げられています。
ペグ、テールピース、顎当て、エンドピン:エボニー(黒檀)、ローズ(紫檀)、フェルナンブーコなど
顎当ての金具:ニッケルなど
チューニングアジャスター:ニッケルなど
ニス:樹脂、油、プロポリスなど
弓:フェルナンブーコ、ニッケルなど
弓毛:馬の毛など
松脂

上記以外にも、柘植(ツゲ)の粉塵により職業性喘息を引き起こす可能性も挙げられていますが、繰り返し症状出現する場合は、受診のうえ原因特定をおこない、ヴァイオリン奏者においては、異なる材質、金属、素材を使用したものへの変更なども検討できると良いかもしれません。

出典・参照:Lieberman HD, et al. Allergic contact dermatitis to propolis in a violin maker. J Am Acad Dermatol. 46: S30-31, 2002

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