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2024.06.04
アナフィラキシーを重篤化する背景・因子としては、既往症(喘息、アレルギー性鼻炎、マスト細胞症(肥満細胞症)、うつなどの精神疾患)、薬剤(βアドレナリン遮断薬、アンギオテンシン転換酵素阻害薬など)、飲酒、運動、急性感染症(風邪など)、睡眠不足、疲労、精神的ストレス、月経前状態、引っ越し(引っ越し準備期間中から抗原吸入により喘息が悪化することもあります)、イベント、旅行など非日常の活動、花粉飛散・集積時期(花粉ー食物アレルギー症候群などにおいて)などが挙げられています。食物経口負荷試験では、少量摂取でもアナフィラキシーを起こすことがありますが、牛乳の少量食物経口負荷試験で重篤な症状を誘発する因子の検討に関する報告について掲載します。
2019年10月から2022年3月まで3ml以下の牛乳の食物経口負荷試験(OFC)を受けた 6歳未満の103名(年齢中央値:2.7歳、男60名)の乳幼児を対象として電子カルテから後方視的に検討。食物経口負荷試験の総負荷量は3ml以下で、単回、あるいは2回負荷とし、食物経口負荷試験施行時のアナフィラキシー有り群とアナフィラキシー無し群に分け、臨床情報について統計学的解析を行った結果、食物経口負荷試験103名の中、陽性は37名でそのうち11名(10.6%)にアナフィラキシー症状が出現した。それぞれの因子について2群間で解析を行ったところ、単変量解析では有意差を認めなかったが、多変量解析では気管支喘息の合併あるいは既往のある患児で有意(p=0.049)にアナフィラキシーを起こしやすく、オッズ比は 3.69(信頼区間1.00-13.50)であった(出典・参照;江國哲 黒岡佑介 谷内昇一郎 西田敬弘 榎本真宏 今出礼 郷間環 水戸守真寿 西野昌光 起塚庸 高槻病院小児科 牛乳の少量食物経口負荷試験におけるアナフィラキシー予測因子の検討)。
2011~2016年までに牛乳の少量食物経口負荷試験(目標摂取量 : 5ml以下) を施行した児を対象に、食物経口負荷試験の結果を中等症~重症、陰性~軽症に分類し、患者背景 (月齢、総負荷量、気管支喘息、アトピー性皮膚炎の合併、多種抗原への感作の有無、牛乳アナフィラキシーの既往、皮膚症状以外の即時型症状の誘発歴、気管支喘息の家族歴、アナフィラキシー発症時期と食物経口負荷試験施行までの期間)、牛乳特異的IgE値、総IgE値を診療録より後方視的に検討した結果、牛乳のアナフィラキシー既往、気管支喘息の合併、気管支喘息の家族歴は、中等症~重症な症状を誘発する危険因子であった(出典・参照:河原隆浩 増本夏子 手塚純一郎 牛乳の少量食物経口負荷試験で重篤な症状を誘発する危険因子についての検討)。
上記報告からは、気管支喘息の合併あるいは気管支喘息の既往、牛乳のアナフィラキシーの既往、気管支喘息の家族歴は牛乳の少量食物経口負荷試験における重篤な症状を誘発する因子となる可能性が示唆されています。今後も他の食物における報告も含め掲載したいと思います。
食物アレルギーの症状を増悪する因子例
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/4463
アナフィラキシーの兆候・初期症状、増悪因子
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/3516
食物アレルギーにおける考えられる発症因子(原因・要因)
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/2079
除去解除に影響する因子の例
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/2162
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