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煙と急性好酸球性肺炎

2020.10.06

投稿者
クミタス

から咳、息切れ、息苦しさ、胸痛、発熱などの症状が出現し、肺に炎症を生じ、気管支内視鏡検査で肺の洗浄液や生検組織に好酸球が高値に見られることがある急性好酸球性肺炎においては、喫煙が原因となることが知られていますが、たばこ以外の煙が原因物質となることがあります。

・線香の煙
~植物成分(例としてもぐさ、スギなど)を含む線香様のテルミー線での例
テルミー(テルミー線)による温熱療法を数年間おこなっていて、微熱、咳が出現。胸部CTにて両肺野にびまん性に分布する辺縁不整の湿潤影が認められた。気管支鏡を施行し、気管支肺胞洗浄にて好酸球91%と著名な増加を認め、急性好酸球性肺炎と考えられた。テルミーにてチャレンジテストをおこなったところ、吸入後に咳が出て、胸部CTにて辺縁不整の湿潤影が出現したため、肺炎の原因と考えられ、テルミーの使用を中止し、その後は症状出現していない(出典・参照:渡部 悦子, 岡崎 亮太, 徳安 宏和, 河崎 雄司, P287 テルミー(線香)の煙の吸入による急性好酸球性肺炎の1例(好酸球性肺炎・過敏性肺炎2, 第19回日本アレルギー学会春季臨床大会))。

・バーベキューでの煙
過去25年間25本/日の喫煙歴があるがアレルギーの既往はない45歳男性。8月3日に近くの河原で家族とバーベキューをして煙を吸入した。8月4日~8月11日にかけ発熱、呼吸困難、著明な低酸素血症が出現した。入院時室内気で SpO2 84%、胸部CTにて肺野びまん性スリガラス陰影、浸潤像,両側性胸水を認めた。気管支肺胞洗浄液で好酸球が 52.4%と増加し、SP-A、SP-Dが血清で188ng/ml、137ng/ml、BALF中で7,890ng/ml、1,110ng/mlと上昇していた。以上より急性好酸球性肺炎(AEP)と診断され、ステロイドホルモンと酸素にて劇的に改善した(出典・参照:出浦弦,  南澤綾子,  漆畑一寿,  花岡正幸,  宮原隆成,  小泉知展,  藤本圭作,  久保惠嗣,  塚平晃弘 血清,BALF 中の KL-6 と SP-A,SP-D が乖離した値を呈した急性好酸球性肺炎の 1 例)。

煙を吸い込んだ後に呼吸器症状が出現した際には、急性好酸球性肺炎である可能性もあり、タバコの煙以外に、花火や線香、粉塵、バーベキュー、焼肉の煙などでも原因となる可能性もあります。受動喫煙を機に発症したと考えられる例もありますが、煙や
粉塵を吸った後で咳や微熱などを生じた場合は、受診時にその状況・経験も伝えられると良いかもしれません。

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