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エラコとアレルギー~ポリガンマグルタミン酸

2020.12.01

投稿者
クミタス

納豆アレルギーについて~ポリガンマグルタミン酸
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/1481
でも掲載しておりますが、クラゲが標的を刺す際に産生するポリ-γ-グルタミン酸(ポリガンマグルタミン酸)は、納豆に含まれる成分でもあり、クラゲに刺されポリ-γ-グルタミン酸に感作した方において、納豆アレルギーを発症することがあると考えられています。

エラコ(環形動物門多毛綱ケヤリ科)は釣り餌として扱われたことのある方もいらっしゃるかと思いますが、エラコの棲管に触れ、棲管上に共生付着している腔腸動物門ヒドロ虫綱のニンギョウヒドラ(エダクダクラゲ)の刺胞毒により、皮膚に水疱などが生じるエラコ皮膚炎を発症することがあり、ポリ-γ-グルタミン酸(ポリガンマグルタミン酸)、ポリ-γ-グルタミン酸(ポリガンマグルタミン酸)が主要アレルゲンの1つと考えられる納豆などにアレルギー反応を示す場合があります。

42歳男性で三陸の漁師の方。2014年エラコの巣に腕を接触して以降、エラコを扱うと顔、上肢に掻痒を伴う皮疹が生じた。2015年、2016年に、全身の蕁麻疹、嘔気、呼吸苦、意識レベル低下を伴う原因不明のアナフィラキシーを生じ、精査目的で受診。帰宅後、納豆を摂食し11時間後にアナフィラキシーが出現した。納豆によるアナフィラキシーを考え、皮膚プリックテストでポリ-γ-グルタミン酸(ポリガンマグルタミン酸) 1,10μg/ml,1mg/ml、エラコ棲管のニンギョウヒドラ付着部、納豆の粘稠成分で陽性。納豆による遅発性アナフィラキシーと診断された。
エラコにはニンギョウヒドラというエダクダクラゲのポリプ世代が共生し、このポリプに刺されることで、クラゲのポリ-γ-グルタミン酸(ポリガンマグルタミン酸)による経皮感作が成立し、納豆アレルギーを発症したと考えられた(出典・参照:花田 美穂, 中川 倫代, 濱端 明美, 三宅 裕志, 天野 博雄, 三陸の漁師に生じたエラコ皮膚炎を伴う納豆による遅発性アナフィラキシーの1例, 日本皮膚免疫アレルギー学会雑誌, 2020, 3 巻, 3 号, p. 443-450)。

エラコ皮膚炎の既往のある人において、ポリ-γ-グルタミン酸(ポリガンマグルタミン酸)含有、ポリグルタミン酸含有の食品を摂食した際、化粧品使用時にアレルギー症状が出現することがありますので、エラコに接触して皮膚炎を生じた方は特にご留意ください。

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