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甘草(カンゾウ)による反応

2020.12.11

投稿者
クミタス

甘草はカンゾウと表記されることもあり、漢方や食品の甘味料などで使用されるなど、目にした方もいらっしゃるかと思います。甘草はマメ科植物になるのですが、ブタクサやハンノキに花粉症の症状のある方で、甘草摂取により症状出現した例など、甘草によるアレルギーの例も見られています。

31歳女性。既往歴として花粉症、小児喘息、りんご・さくらんぼ・イチゴ・桃での蕁麻疹の出現あり。頑固な便秘のため15歳頃より便秘薬を内服し時折、内服1時間後に蕁麻疹が出現するも数時間で皮疹が消失するため放置。その後喘息様症状も出現。CAP-RASTはヨモギ:クラス 4、ハンノキ:クラス4、シラカンバ:クラス4、ブタクサ:クラス2、武田漢方便秘薬成分スクラッチテストで甘草20mg/ml:7x3/23x28、甘草0.2mg/ml:0×0/20x18、大黄甘草湯エキスでは陰性、他の成分もすべて陰性。また甘草0.2mg/mlを90℃x15分および 50℃×15分加熱施行し、スクラッチテストしたところ、どちらも陰性。製品製造の際の加熱温度40℃で甘草0.1mg/mlによる好塩基球からのヒスタミン遊離試験では有為なヒスタミン遊離を認めた(出典・参照:佐々木祥人 堀川達弥 東田由香 甘草(武田漢方便秘薬:大黄甘草湯)によるアナフィラキシー)。

31歳男性。感冒にてニューカイテキZ (R)を内服したところ10分後に膨疹が出現し、全身熱感、呼吸困難感を自覚。意識混濁も認めたが放置していた。その後も同薬剤の空き袋を洗浄中に全身の膨疹が再燃し自然に軽快。スクラッチテストにてニューカイテキZ (R)、含有成分である甘草に陽性所見を認めたことにより、甘草によるアナフィラキシーと診断された。甘草の主化合物であるグリチルリチンに対するスクラッチテストは陰性であり、甘草に含まれるグリチルリチン以外の化合物によるアナフィラキシーであると考えられた(出典・参照:里博文 瀬戸英伸 愛仁会高槻病院皮膚科 甘草によるアナフィラキシーの1例)

甘草(カンゾウ)の主成分にグリチルリチン酸がありますが、グリチルリチン酸は腸内細菌で代謝されてグリチルレチン酸に変わり、生理的副腎皮質ホルモンであるコルチゾールをコルチゾンに変換する酵素を阻害することでコルチゾールが増え、それによりナトリウムの再吸収が促進されカリウム排泄が増えることで、むくみ、高血圧、低カリウム血症、また低カリウム性ミオパチーによる手足のだるさ、しびれ、つっぱり感、こわばり、こむらがえり、だるい、口が渇くなどの症状を生じやすくなると考えられています。
甘草(カンゾウ)による反応については、アレルギー、マメ科植物間での交差反応性、漢方薬による甘草製薬の副作用について今後もアップデートしていきたいと思います。

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