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骨粗しょう症とアレルギー、喘息との関係

2021.03.20

投稿者
クミタス

全身的なステロイド投与により骨量が低下する可能性も考えられますが、アレルギーと骨粗しょう症において病態生理学的関係があり、アレルギー性炎症をおこすことが骨減少を引き起こす一因になる可能性も示唆されています。
卵白アルブミン (オボアルブミン)にアレルギー反応を示すマウス(オボアルブミン投与により血漿中総IgE、オボアルブミン特異的IgE抗体価が対照群よりも有意に上昇、オボアルブミン溶液を鼻から吸引すると気管支周囲に炎症性細胞浸潤が認められた)において、骨量、骨梁幅、骨密度がアレルギー惹起9週間後に有意に減少していた。骨組織においては、オボアルブミン投与後3週目より破骨細胞数の増加が確認され、また定量的PCR解析により骨組織中のmRNA発現変化、炎症性サイトカインの上昇が認められた。さらにアレルギー増悪に関わることが知られている脂質メディエーターの合成酵素やその受容体群の発現上昇、骨中のロイコトリエン量の増加も確認され、全身的なアレルギー炎症が破骨細胞形成を誘導し、骨減少を引き起こすことが示唆された(出典・参照:大内雅博 九州大学 骨粗鬆症発症へのアレルギー性炎症の関与)。

破骨細胞は、古い骨を吸収することで骨の新陳代謝を担う細胞で、過剰な活性化は骨粗しょう症や関節リウマチ、歯周病、がん骨転移などに伴う骨破壊の原因となるとも見られています。
イギリスの Clinical Practice Research Database を用いて、喘息患者さんの骨粗しょう症と脆弱性骨折リスクを一般集団と比較した結果では、喘息患者さんでは骨粗しょう症(調整ハザード比1.18、95%CI 1.13-1.23)、脆弱性骨折(同1.12、1.07-1.16)のリスクが高く、経口コルチコステロイドと骨粗鬆症に用量反応関係があり、脆弱性骨折リスクは1年での経口コルチコステロイド投与量が6コース以上の患者さんでより高く、吸入コルチコステロイドの定期的な使用下では骨粗しょう症リスク、脆弱性骨折リスクが増加した(出典・参照:Chalitsios CV, et al. Incidence of osteoporosis and fragility fractures in asthma: a UK population-based matched cohort study. Eur Respir J. 2020 Aug 6. )、との報告も見られています。
経口・吸入ステロイド使用、またアレルギー性炎症と骨との関係について、他の文献なども含め今後もアップデートしていきたいと思います。

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