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歯ブラシによる口腔・咽頭損傷例から

2021.04.28

投稿者
クミタス

小児の口腔における事故
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/3514
にも掲載をしていますが、1~3歳児など6歳以下の小児での口腔異物外傷では、歯ブラシが原因となるケースは多く、歯ブラシや箸、スプーンなど棒状のものをくわえて前方に転倒し、口蓋、舌、頰粘膜に刺入することもありますが、重症例も見られています。

2歳2か月男児。歯ブラシを咥えて転倒した翌日から発熱と下顎部腫脹を認め受診。咽頭粘膜欠損なく、喉頭ファイバーでも穿孔所見が認められなかったが、室内気で経皮的酸素飽和度(percutaneous oxygen saturation; SpO2)87%と低下し、コンピューター断層撮影(computerized tomography; CT)で深頸部から縦隔にかけて広範な気腫が認められた。低酸素血症を認め、急激な気腫の増悪の可能性があると判断され、小児集中治療室で人工呼吸器管理・抗菌薬投与により後遺症なく救命しえた。

歯磨きをしていて転倒した場合に子供では説明が難しかったり、口腔内の損傷の程度がわかりにくい場合もありますが、歯ブラシが刺入していても出血が続くとは限らず、ほどなくして出血しなくなっていても、傷から細菌が入り膿瘍が形成され入院のうえ抗生剤静注が必要になることもあります。膿瘍が形成される場合も咽頭の発赤や腫脹などはみられず、造影CTで深頸部に限局して膿瘍形成を確認できた例もあり、広範な深頸部・縦隔気腫や縦隔膿瘍をきたし気管内挿管・人工呼吸器管理や開胸手術を要したり、人工呼吸管理を要す縦隔炎を併発することもあります。
台に乗った状態での歯磨き中に転倒するケースも見られていますが、不安定な状態になっていないか確認のうえ、保護者が付き添い転倒などに注意を払えることが望ましいでしょう。

出典・参照:山本潤 黒田徹 苫小牧市立病院耳鼻咽喉科 歯ブラシによる口腔・咽頭外傷5例の検討、広範な深頸部・縦隔気腫をきたした歯ブラシによる咽頭損傷の一例

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