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茶によるアレルギーの可能性

2021.10.19

投稿者
クミタス

チャノキ(茶の木)はツバキ科ツバキ属の常緑樹で、チャノキの葉や茎は緑茶、紅茶、ウーロン茶の原料となります。緑茶は不発酵茶、紅茶は発酵茶、烏龍茶は半発酵茶で、緑茶には被覆栽培(覆いをする覆下栽培)の碾茶・抹茶、玉露、かぶせ茶、そして露地栽培(覆いをしない)の煎茶、ほうじ茶、玄米茶、京番茶があります。抹茶は碾茶を原料にしており、粉茶は主に玉露や煎茶の荒茶製造工程で破砕されて発生するものと、荒茶を精選する工程で切断、選別する際に出る粉になり、粉末茶は煎茶などの茶葉を粉砕したもの、または抽出液を濃縮し乾燥させたものを指す場合があります。
緑茶粉塵に継続して暴露している方においては、咳、鼻汁、鼻閉といった症状が出現することがありますが、
茶による反応~職業性喘息など
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/3732
今回は、茶タンパクが原因と考えられる食物アレルギー例について掲載したいと思います。

9 歳男児。アレルギー疾患の既往なし、抹茶アイス(M 社)を摂取した60 分後から咳、体の掻痒感を認め、当院救急外来を受診した。受診時には嘔気、全身蕁麻疹、低血圧、頻脈を認め、アナフィラキシーショックと判断しアドレナリン筋注、輸液、ステロイド投与を行なった。後日施行した皮膚プリック試験は抹茶アイス(M 社)、カフェイン(0.5,5,50 mg/mL)で陰性、抹茶は陽性、茶(f222)特異的IgE 抗体価(Immuno-CAP)は0.105 UA/mL であった。食物経口負荷試験では抹茶アイス(M 社)50g 摂取後60 分で全身紅斑、蕁麻疹、咳、喘鳴、抹茶2g 摂取後60 分でも同様の症状を認めた。カフェイン、カテキンの食物経口負荷試験 は陰性、IgE イムノブロッティング では60kDa、100-150kDa にバンドを検出し、茶タンパク質による即時型症状と診断した(出典・参照:梶田直樹 三山智史 木下和枝 榊原裕史 幡谷浩史 成田雅美 吉田幸一 東京都立総合医療センター,東京都立総合医療センター 埼玉市民医療センター 東京都立総合医療センター 抹茶アイスでアナフィラキシーショックを発症したチャノキ(Camelliasinensis )由来の茶アレルギーの1 小児例)。

煎茶の生産が主である静岡県、鹿児島県、宮崎県、かぶせ茶の生産が多い三重県、福岡県、奈良県、玉緑茶の生産が多い熊本県、佐賀県、長崎県、玉露や碾茶・抹茶の生産が多い京都府など地域によっても違いがあります。
品種別では日本の茶園面積の約75%を「やぶきた」が占め、「ゆたかみどり」、「おくみどり」、「さえみどり」、「かなやみどり」、「さやまかおり」、「あさつゆ」などが続きます。また国内で生産されている品種の中で、メチル化カテキン含量が高い「べにふうき」、「さきみどり」、「りょうふう」、「そうふう」などは、来歴にアッサム種をもち、「みなみさやか」は来歴にアッサム種、コーカサス種をもちます。また抽出液が赤色で新芽のアントシアニン含量が高い「サンルージュ」などもあります。
碾茶・抹茶用途の品種には、京都府育成で「あさひ」、「さみどり」、「うじひかり」、「展茗」など、玉露用品種には「ごこう」、「うじみどり」、「鳳春」、「うじひかり」、「さみどり」などが挙げられます。碾茶・抹茶、玉露、かぶせ茶の​被覆栽培(覆いをする覆下栽培)では日光を遮ることで、カテキンの生成が抑えられ、テアニン比率が高まる面があります。碾茶は煎茶よりも短い蒸し時間で蒸すことが多いですが、170~200度などの熱風で30分ほど乾燥する工程も経ます。茶の種類、品種や生産時期、地域による違いなどがあるか、も含め今後もアレルギー例を掲載していきたいと思います。

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