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多剤による固定薬疹

2021.12.08

投稿者
クミタス

同一薬剤や薬剤代謝産物により同一部位に発疹が生じる固定薬疹を引き起こすことがあります。原因薬剤の摂取後、多くは数時間のうちに口囲、口唇、外陰などの皮膚粘膜移行部や四肢などに、かゆみとともに類円形で境界がはっきりした直径1〜10cm大ほどの紅斑を生じ、水疱、びらんを伴うこともあります。色素沈着を残して治癒しますが、再度の薬剤摂取により再発するたびに色素沈着の度合いを増すともみられています。
固定薬疹においては多剤に感作している方の報告もみられていますので、ご紹介したいと思います。

48歳女性。11か月前から外陰部に有痛性潰瘍を繰り返し受診。初診時に外陰部の有痛性潰瘍、下口唇びらん、親指や臀部に円形の色素沈着を認めた。当初ヘルペスが疑われ、抗ウイルス剤の投与がおこなわれたが、皮疹の出現を繰り返していた。
再度の詳細な問診よりメフェナム酸(非ステロイド性抗炎症薬)、トスフロキサシントシル酸塩(抗菌製剤)の関与が疑われ、パッチテストでメフェナム酸が陽性、内服テストでトスフロキサシントシル酸塩が陽性で、それぞれによる固定薬疹と診断された。

63歳女性。1年4か月前よりロキソプロフェン内服後に左下ももの紅斑を繰り返したため受診。パッチテストでは陰性であったが、内服テストでロキソプロフェン(非ステロイド性抗炎症薬)内服後に症状の再燃を認めた。また安全薬確認のためおこなったチアラミド塩酸塩(非ステロイド性抗炎症薬)の内服テストでも同様の所見が得られ、ロキソプロフェン、チアラミド塩酸塩による固定薬疹と診断された。

食物が原因で同一部位に皮疹を繰り返すことがありますが、
食物による固定疹
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/3301
薬剤においては、非ステロイド性抗炎症薬や抗菌製剤、去痰剤などによる報告が多い傾向があります。
薬疹の悪化防止のためには原因薬剤の特定と使用中止が求められるところですが、また今後も食物による固定疹含め情報をアップデートしていきたいと思います。

出典・参照:芦塚賢美 松本舞 福地麗雅 竹中基 室田浩之 長崎大学病院皮膚科・アレルギー科 多剤に感作された固定薬疹の2例

薬剤によるアレルギー、薬疹とは?
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/1510

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