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2021.12.11
ウィルスや細菌に感染することで発症する蕁麻疹である急性感染性蕁麻疹において、アナフィラキシーと診断される他臓器症状を伴ったと考えられる報告例をご紹介したいと思います。
78歳女性。意識消失、全身広範囲の紅斑、血圧低下よりアナフィラキシーショックと診断され加療後、当科に搬送され入院となった。入院時、発熱があり、アナフィラキシーは軽快していたが、体幹、四肢に浮腫性紅斑が多発し、血液検査では軽度の炎症所見とDダイマーの顕著な上昇(30.6 μg/mL,当院正常範囲 <0.9 μg/mL)を認めた。
病理組織学的検査では血管炎はみられず、真皮浅層の浮腫と浅層から中層にかけての血管周囲性のリンパ球、好中球、好酸球などの浸潤が主要所見であった。抗ヒスタミン剤による治療に反応せず、提唱されている急性感染性蕁麻疹の診断条件を満たしたため抗菌剤を併用したところ浮腫性紅斑は色素沈着を残して改善し、Dダイマーも顕著に低下した。感染源は同定できなかったが、診断条件を満たしたことと臨床経過より急性感染性蕁麻疹と診断され、諸検査で前医でみられた意識消失、血圧低下の原因となりうる異常はなく、アナフィラキシーショックは急性感染性蕁麻疹に伴うものと診断された。Dダイマー上昇についても原因となりうる他の異常は見いだされず、本病態に付随したものと考えられた(出典・参照:前田 泰広, 高橋 聡文, 小池 隆弘, 加藤 威, 中西 健史, 田中 俊宏, アナフィラキシーショックを合併した急性感染性蕁麻疹の 1 例, 皮膚の科学, 2021, 20 巻, 1 号, p. 6-10,)。
急性感染性蕁麻疹は肥満細胞から血管透過性因子が放出されたり、皮膚への好中球浸潤などが背景にあるとも考えられています。蕁麻疹ではアナフィラキシーを生じることがありますことにご留意頂くとよいかもしれません。
慢性蕁麻疹と血液凝固反応
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