寒天の種類
寒天には、糸寒天(細寒天)、角寒天、粉寒天、そしてフレーク寒天があります。
寒天はテングサ、オゴノリといった紅藻類が原料になり、もともとは糸寒天はテングサ、粉寒天の多くはオゴノリが原料、角寒天はテングサとオゴノリのブレンド、フレーク寒天は糸寒天をベースにしています。
テングサは正確には紅藻類テングサ目、テングサ科に属するマクサ、ヒラクサという名称の海藻を指します。
糸寒天は強度が強く、ようかんなどの和菓子づくりに使用されてきました。テングサはより高級な原料で、テングサとオゴノリで比較をするとテングサを原料とする寒天の方が、凝固能力が少し高い特徴があります。
テングサ、オゴノリとも多糖類のアガロース、アガロペクチンを含み、凝固作用をもたらします。
現在では工業的に寒天を製造するようになり、オゴノリなどの海藻を水酸化ナトリウムや塩化カルシウムで処理をし、凝固度を上げるようにした寒天製品も流通しています。
寒天は漂白されたものが多いですが、糸寒天を中心に無漂白のものもあります。
寒天でつくられた商品は時間経過とともに表面に水分がにじんでくる、シネリシス現象が起こることがあります。これを離水、離しょうとも呼びます。
この離水はテングサを原料とする寒天では発生程度が少し低くなる面があります。
アガーとは
アガーはイバラノリ、キリンサイ、ギンナンソウ、スギノリ又はツノマ夕の藻体を抽出精製して得た多糖類のカラギナンを含みます。カラギナンはガラクトース、アンヒドロガラクトースなどから構成されています。
寒天とアガーは海藻由来の多糖類(植物繊維)が凝固作用をもたらしている点で共通していますが、アガー製品は海藻由来以外の成分も凝固に関与していることがあり、製品により使い勝手に違いがあります。
寒天、アガーとゼラチンの違い
アガーは寒天より透明感があり、寒天に比べるとゼラチンの食感に近くなります。寒天が凝固点は33℃~45℃、融点は85℃~93℃ほど、アガーもほぼ同様で(製品により異なります)、ゼラチンが冷蔵により凝固し、室温で溶け出してしまうのと比較すると、室温程度で容易に固められ溶けにくい特徴があります。ですが、室温程度で固まり始めてほしくない食品、たとえば気泡を維持したいムースやババロア、またマシュマロにはゼラチンが向いています。
またゼラチンは一般的に豚、牛、魚などの動物性原料由来であるため、パイナップル、キウイといったたん白質分解酵素を含む食品が生の状態であると固めにくいのに対し、寒天、アガーはその影響を受けません。
一方、寒天、アガーは酸性の食品では凝固しにくい面もあります。ゼラチンにもその面がありますが、寒天、アガーは酸の影響で多糖類の構造が変化したり、加水分解されるため、酸味の強い果汁やピューレ、乳酸菌飲料等と一緒に長時間煮立てず、酸味のあるものを入れる場合は寒天液を少し冷ましてから入れるか、寒天、アガーの濃度をあらかじめ高めにする等の調整が必要になります(寒天、アガー、ゼラチン製品により違いはあります)。
また寒天、ゼラチンは砂糖を加えると固さが増し、寒天ではより透明度も増し、離水がしにくくなります。アガーは砂糖と一緒に混ぜるとダマになりにくく、アガーの分量を多くして濃度を高めでつくると固さが出る面もあります。このように特徴を生かして、調整次第でゼリーの固形度や状態を変えることもできます(寒天をしっかり固めたい場合は、寒天が十分に煮立った後に砂糖を加えるようにしましょう。最初から一緒に茹でると寒天の固まりがゆるくなるor固まらなくなりやすくなります)。
ゼラチンは沸騰させてしまうと固まらなくなりますが、寒天は基本的には火にかけて沸騰させ煮溶かさないと固まりません(製品により必要時間は異なります)。寒天加熱後に寒天を加えても寒天が溶け出さず寒天液が固まらないこともあります。寒天液をつくってからほかのものを加える方が固まりやすいですが、その際冷えた状態で加えると、全体が均一に固形化しにくくなるため、液温に大きな差が出ないよう温めて加えるようにしましょう。
牛乳寒天を作る際は、寒天液が80℃以下になってから加えるとなめらかな寒天ゼリーが作りやすくなります。
次回、蒟蒻ゼリー、増粘多糖類、オブラートについてお送りします。
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