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薬剤投与後の症状出現について

2022.08.08

投稿者
クミタス

薬剤によるアレルギー、薬疹においては、抗菌薬、解熱消炎鎮痛薬、抗けいれん薬などさまざまな薬品が原因となる事がありますが、風邪薬の服用後さらに症状出現することもあります。

7歳男児。鎮咳剤のチペピジンヒベンズ酸塩(アスベリン®散)、去痰薬(気道粘液調整・粘膜正常化剤)のL-カルボシステイン(カルボシステイン®DS)内服翌日に、38℃以上の発熱,喘鳴、酸素飽和度の低下、2日後に口唇・眼粘膜・外陰部の糜爛などの粘膜疹、体幹部の水疱が生じスティーブンス・ジョンソン症候群と診断された。眼には偽膜形成、角膜上皮欠損も認められたため、発症早期にステロイドパルス療法が施行され回復した。発症から3年経過したが明らかな後遺症は認められていない。原因検索として施行した薬剤リンパ球刺激試験(drug induced lymphocyte stimulation test:DLST)で、チペピジンヒベンズ酸塩+L-カルボシステイン合剤,チペピジンヒベンズ酸塩が陽性を示した。
文献ではチペピジンヒベンズ酸塩によるスティーブンス・ジョンソン症候群の報告例は無かったものの、チペピジンヒベンズ酸塩は広く小児医療において使用されている代表的な薬剤で、スティーブンス・ジョンソン症候群の原因になり得、投与に際しては十分に注意が必要であると示唆しています(出典・参照:竹内陽平 小林貴江 河邊太加志 原因として感冒薬が疑われたStevens-Johnson syndromeの1例)。

症状として既に風邪の症状として自覚している中で、投薬後に似た症状もさらに出現していますが、場合によりスティーヴンス・ジョンソン症候群、中毒性表皮壊死融解症といった症状の重い、薬の副作用による症状が出現する場合もあります。スティーヴンス・ジョンソン症候群は原因と考えられる医薬品の服用後2週間以内に発症することが多いと考えられていますが、「高熱(38℃以上)」、「目の充血」、「めやに」、「まぶたの腫れ」、「目が開けづらい」、「くちびるや陰部のただれ」、「排尿・排便時の痛み」、「のどの痛み」、「皮ふの広い範囲が赤くなる」がみられ、その症状が持続したり、急激に悪くなったりする場合は放置せず、医師・薬剤師に連絡するのが望ましいとされていますので、ご留意ください。

薬剤によるアレルギー、薬疹とは?
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/1510
重篤副作用疾患別対応マニュアル~スティーヴンス・ジョンソン症候群、中毒性表皮壊死融解症
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/2192

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