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​急性痘瘡状苔癬状粃糠疹について

2022.11.18

投稿者
クミタス

急性痘瘡状苔癬状粃糠疹(きゅうせいとうそうじょうたいせんじょうひこうしん pityriasis lichenoides et varioliformis acuta(PLEVA))は、四肢や体幹に赤い発疹が出現した後、水疱になり、水疱がつぶれてかさぶたになった後、色素沈着となる傾向のある疾患で、原因ははっきりしないことも多いですが、何らかの免疫異常が発症の背景にある可能性も考えられています。

・食物経口負荷試験後に症状出現したケース
3歳男児。乳児期より卵アレルギーがあり(乳児期に卵摂取後に蕁麻疹が出現、特異的IgE抗体値は卵白、卵黄、オボムコイドが強陽性)、卵負荷試験実施4日後に、全身にかさぶたを伴う丘疹が多発し紹介受診。生検にて急性痘瘡状苔癬状粃糠疹と診断された。ステロイド外用を開始するも皮疹は拡大し,ナローバンドUVB導入を検討したものの、徐々に消退傾向を示したため経過観察とされた。皮疹発症後も卵負荷を継続していたが、発症3カ月後にはほぼ色素沈着となった(出典・参照:森田安理 黒田桂子 平井陽至 姫路赤十字病院 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 卵負荷試験後に急性痘瘡状苔癬状粃糠疹を生じた男児の1例)。

・妊娠環境下で炎症性サイトカインが産生増加したことが発症を促した可能性
24歳女性。妊娠36週、切迫早産の治療中に体幹、四肢に自覚症状のない紅斑、褐色斑が多発。妊娠39週で出産し、その後も皮疹の新生が続くため受診。初診時、体幹の皮疹の多くは色素沈着となっていたが、四肢には紅斑や紫斑が存在した。病理組織学的には表皮個細胞壊死、リンパ球の表皮内浸潤、表皮から真皮浅層にかけて出血などの所見を認め、急性痘瘡状苔癬状粃糠疹と診断された。また出生時よりB型肝炎ウイルス無症候性キャリアであったが、皮疹出現に伴い、肝機能障害を認めた。2か月間のナローバンドUVBの照射によって皮疹は消退した。妊娠、特に切迫早産時に、本症発症例が報告されており、本例も類似例と考えられ、妊娠環境下でB型肝炎ウイルスが増殖し、炎症性サイトカインが産生増加したことが発症を促したと考察された(出典・参照:青島正浩 津嶋友央 富士市立中央病院皮膚科 妊娠中に発症した急性痘瘡状苔癬状粃糠疹)

乾癬治療でも用いられることのある光線療法が有用となりうるとみられています。慢性型の苔癬状粃糠疹なども含め、今後も追記したいと思います。

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