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ウイルス性の下痢について

2023.02.15

投稿者
クミタス

2009年〜2013年までの4年間に札幌、東京、大阪、静岡、京都、佐賀の6 カ所の小児科外来を訪れ、ウイルス性下痢症と考えられる乳幼児から得た便 2,381検体からウイルスの検出を行った結果では、70.4%からウイルスが検出され、そのうちノロウイルスは 39.1%、ロタウイルスは20.1%、ヒトパレコウイルス(6.6%)、エンテロウイルス(6.1%)、アデノウイルス(5.6%)、サポウイルス(4.8%)、アストロウイルス(2.3%)、アイチウイルス(0.1%)、ロタウイルス C(0.1%)の内訳も見られています(出典・参照:ウイルス性下痢症(ロタウイルス,ノロウイルスなど) 沖津 祥子 牛島廣治 日本大学医学部病態病理学系微生物学分野)。

ロタウイルス
ロタウイルスは感染力が強く、少ない量のウイルスでも感染する傾向があり、5歳までにほぼすべての子どもがロタウイルスに感染すると見られ、5歳までの急性胃腸炎の入院患者のうち、40~50%前後はロタウイルスが原因との示唆もなされています。ロタウイルスの中で、ヒトに感染するのはA~C群の3種類で、一般にロタウイルスといえばA群を指し、C群ロタウイルスによる胃腸炎はA群のような大規模な流行が見られることは少ない傾向です。

ヒトパレコウイルス
ヒトパレコウイルス(Human parechovirus : HPeV)は、下痢を主症状とする小児の胃腸炎や呼吸器疾患患者さんから検出されることがあります。夏〜秋に流行することがあり、新生児や生後3か月以下の乳児で敗血症や脳炎、髄膜炎などの重症例も見られますが、別途掲載したいと思います。

エンテロウイルス
ポリオウイルス、エコーウイルス、コクサッキーウイルスA群、コクサッキーウイルスB群、その他のエンテロウイルスで構成されるウイルスのグループに属するウイルスの総称で、手足口病やヘルパンギーナ、ポリオ、ポリオ後症候群、無菌性髄膜炎、 脳炎、 心筋心膜炎、 出血性結膜炎などは、エンテロウイルスなどが原因で起こる可能性があります。

サポウイルス
サポウイルスは日本のアサリや生食用のカキなどから検出されることがありますが、ノロウイルスと同じカリシウイルス科に属するウイルスで、ノロウイルスと同様に手指や食品などを介してヒトの腸管で増殖し、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛、発熱などを引き起こすことがあります。

アストロウイルス
乳幼児や小児の下痢症の原因となることがあり、過去には小学校の集団事例の検体から検出されたことがあります。

アイチウイルス
汚染されたカキや水などから検出されることがあります。

感染性胃腸炎の症状が鎮静しても、食後の胃腸症状が続く場合は、食物蛋白誘発胃腸炎(FPIES)、食物蛋白誘発直腸大腸炎(FPIAP)を発症している可能性もあります。よろしければ以下もご参照ください。
感染性胃腸炎と食物蛋白誘発胃腸炎(FPIES)
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/4418

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