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アレルギー反応ではなく血管迷走神経反射をきたすようになったと考えられる例から

2022.12.18

投稿者
クミタス

心拍数の低下、血圧低下などをきたす血管迷走神経反射は、アレルギー症状にも近い反応にも見える場合もありますが、
アレルギーと心因反応、迷走神経反射
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/2828
今回は、鎮痛薬服用後にアレルギー反応ではなく血管迷走神経反射をきたすようになったと考えられる例を掲載します。

54歳女性。ロキソプロフェン服用後に気分不良・意識が遠のく感じが複数回あり。金属アレルギーがあるが、気管支喘息やアトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎の既往や診断・治療歴はなかった。
総 IgEは251 IU/mL、抗原特異的 IgE はダニ、ハウスダスト、ガが陽性、ロキソプロフェン 0.001~1mg/mL のプリックテストや皮内テストを施行したところ陰性で、60mgまでの経口負荷試験を半座位で行ったが、陰性であった。これらの検査中に軽度の気分不良を認めたが,血圧低下もなく直ぐに回復した。
患者さんは 2年前の歯科治療時に、歯科麻酔後に抗菌薬と鎮痛薬を服用してその直後に気分不良と動悸が出現したことがあったが、それ以前は頭痛に対してロキソプロフェンを特に副作用なく服用できていた。以後、複数回のロキソプロフェン、1 回のアセトアミノフェン内服後に気分不良・意識が遠のく感
じがして救急搬送を要請したこともあった。以上のことから歯科麻酔時を契機として鎮痛薬服用後に血管迷走神経反射をきたすようになった可能性が考えられた(谷本安 黒岡昌代 鳥家泰子 樫野勝幸 板野純子 林知子 藤井誠 平野淳 河田典子 木村五郎 宗田良 国立病院機構南岡山医療センター内科 国立病院機構南岡山医療センター看護部 国立病院機構南岡山医療センター薬剤部 国立病院機構南岡山医療センター小児科 鎮痛薬内服後の血管迷走神経反射が疑われた1例)。

血管迷走神経反射においては、あくび、冷や汗、目の前が暗くなる、物が重って見える、吐き気、腹部の違和感などを生じることがあり、失神の前の前兆症状として生じることもあります。血管迷走神経反射を引き起こす背景に睡眠不足、疲労、長時間立っている時や長時間座っている時、痛みや緊張、不安、恐怖心などの精神的ストレスなどが挙げられています。
アレルギー反応との違いとして、失神による症状は寝た状態で軽減されるともみられており、また血管迷走神経反射においては、通常は蕁麻疹、紅斑などの皮膚症状や、呼吸器症状は見られないことが多いとの示唆もあります。
一方、極度の不安や緊張などで息を何度も息を激しく吸ったり吐いたりする状態になり、呼吸ができない、息苦しさ(呼吸困難)を感じる場合、過換気症候群である可能性があります。

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