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食物アレルギーと急性膵炎②

2023.01.12

投稿者
クミタス

食物アレルギー反応が急性膵炎の原因になることがあり、強い腹痛など腹部症状が続く場合においては、急性膵炎が関与していることがあります。
食物アレルギーと急性膵炎
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/1743
食物アレルギー症状に腹部症状を伴う場合には、アミラーゼ、リパーゼといった膵酵素の測定や画像検査の重要性も示唆されています。

鶏卵と小麦アレルギーの既往がある2歳男児。生鶏卵を少量摂取1時間後から腹痛と活気不良を認め受診。アナフィラキシー(Sampson分類 Grade2)と診断され、抗ヒスタミン薬を投与。血液検査で膵酵素の上昇を認め(Amy(アミラーゼ)2735、リパーゼ 6490)、急性膵炎を合併していた。絶飲食、抗生剤投与のみで膵炎は数日で軽快し、第6病日に退院した(出典・参照:澁澤裕史 大城浩子 岡藤麻未 藤岡かおる 小林浩司 池田久剛 国立病院機構甲府病院小児科 山梨厚生病院 食物アレルギーによる急性膵炎を発症した2歳男児例)

1歳2か月時に固茹で卵白をスプーン1杯摂取し全身蕁麻疹と喘鳴と不機嫌と腹痛があった。血液検査では Amy(アミラーゼ)1278 U/L、リパーゼ 4476 U/Lであり、腹部造影CT検査で膵尾部の低吸収域があり、急性膵炎Grade1 と診断された。以後は食物経口負荷試験を施行して段階的に摂取量を増やし、耐性獲得を目標とした。全卵炒り卵25gまで摂取可能となり、3歳11 か月時に全卵炒り卵1個の食物経口負荷試験を受けた。
摂取後の1時間から不機嫌、下痢、嘔吐、腹痛が出現。血液検査では Amy(アミラーゼ) 2496 U/L であり、エコー所見をあわせて急性膵炎を起こしたと診断された。アドレナリン筋注で症状は改善し、翌日に Amy(アミラーゼ)は正常値まで改善した(出典・参照:沖剛 中野珠菜 小野佳代 岡畠祥憲 高野健一 天本正乃 北九州市立八幡病院小児総合医療センター 急性膵炎を伴うアナフィラキシーを繰り返した3歳男児の一例)。

過去に鶏卵摂取でアナフィラキシーに伴う急性膵炎を起こし、日常摂取量の食物経口負荷試験で再び急性膵炎を起こした上記例では、食物アレルギーによる急性膵炎を繰り返しており、食物経口負荷試験を慎重に行う重要性も示唆されています。経口免疫寛容を目的とした摂取の過程で、急性膵炎を起こさず耐性を得る可能性やリスクに関して、今後も掲載していきたいと思います。

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