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アセトアミノフェンと症状

2023.03.15

投稿者
クミタス

解熱鎮痛作用のあるアセトアミノフェンが含まれる薬剤には、市販薬(一般用医薬品)として購入も可能な製品が複数存在していますが、場合によりアセトアミノフェン内服後に蕁麻疹、膨疹、悪心、嘔吐、発熱、咳、息苦しさなどの症状が出現することがあります。
 
・症状誘発なく数回のアセトアミノフェンの内服歴のある15歳女児。 アセトアミノフェン300 mg(8.5 mg/kg)を内服後に悪心、嘔吐、高熱が出現した。皮膚検査、薬剤リンパ球刺激試験(DLST(Drug-induced lymphocyte stimulation test))、好塩基球活性化試験(BAT(Basophil Activation Test))は陰性であったが 薬剤誘発試験(DPT(Drug provocation test))は総量400 mg(10 mg/kg)で、全身紅潮、嘔気、末梢冷感を認めアドレナリン筋肉注射を要した。

・症状誘発なく数回のアセトアミノフェンの内服歴のある 8 歳男児。アセトアミノフェン168 mg(10 mg/kg)を内服後に咳と膨疹が出現した。皮膚検査は陰性であったが、薬剤誘発試験(DPT(Drug provocation test)) は総量15 mg(0.9 mg/kg)で鼻閉、眼瞼腫脹、複数範囲膨疹を認めた。1年10ヶ月後の薬剤誘発試験(DPT(Drug provocation test))は総量280 mg(14 mg/kg)で陰性であった。

上記報告ではアセトアミノフェン過敏症の方の中には、皮膚検査、好塩基球活性化試験(BAT)、薬剤リンパ球刺激試験(DLST)が陰性でも 薬剤誘発試験(DPT)陽性となる場合があり、また過去に診断されていたアセトアミノフェン過敏症の寛解可能性を示唆しています。

解熱鎮痛薬の有効成分の1つであるアセトアミノフェンは非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)には分類されませんが、アスピリンなどの非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)服用により食物依存性運動誘発アナフィラキシー誘発、症状増強となることが知られており、アスピリンによる食品のアレルギー反応がそれほど増強されない場合も、運動誘発試験陽性率を上昇させたり、皮膚プリックテスト前にアスピリンを摂取していると、皮膚テストでの反応が増強されるとの報告もあります。解熱鎮痛薬と症状、アレルギーについてはまた掲載したいと思います。

出典・参照:松尾嘉人 牧野篤司 北村勝誠 松井照明 高里良宏 杉浦至郎 伊藤浩明 あいち小児保健医療総合センター免疫・アレルギーセンターアレルギー科 アセトアミノフェン過敏症の2例

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