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便秘と乳アレルギー

2023.07.01

投稿者
クミタス

慢性便秘症に乳糖不耐症や乳アレルギーが関与する場合があり、小児慢性機能性便秘症 診療ガイドラインでは「頑固な便秘症の幼児における臨床研究で、30例中26例が牛乳(ミルク)をやめると自排便がみられ、牛乳を再開すると72時間以内に便秘が再出現した。また、便秘症の乳児65例における二重盲検クロスオーバー試験では、慢性機能性便秘症 が牛乳不耐症の症状であることが示されている。北米小児栄養消化器肝臓学会(NASPGHAN)は、牛乳を大量に飲む児に便秘と裂肛が多いこと、および牛乳を除去して軽快、牛乳摂取で便秘がおこる例が存在することから、通常の治療に反応しない頑固な便秘症例に対して期間限定で牛乳制限を考慮するべきとの見解を出している。その後のケースコントロール研究や牛乳と米ミルクのクロスオーバー研究でも便秘症と牛乳アレルギーの関係が明らかにされている」との記述もなされています。

2歳7か月の男児。生後3か月よりがんこな便秘が出現し、症状が軽快しないため来院した。腹部単純X線検査で腸管の拡張は認めなかったため、浣腸とともに大建中湯、小建中湯、酸化マグネシウムの内服加療を開始したが、便秘は改善しなかった。そこで注腸造影検査を行ったが、caliber changeは認めなかった。その後も症状は改善しなかったため当科受診後5か月を経過した時期にミルクアレルギーを疑い血液検査を行ったところIgE抗体、リンパ球刺激試験(DLST)ともに陽性であり、乳製品の摂取が禁止となった。乳製品の摂取禁止後6日目には自然排便をほぼ毎日認めるようになりミルクアレルギーによる便秘と診断された(出典・参照:慢性便秘症を契機に見つかったミルクアレルギーの1例)。

食物アレルギーにおける消化器症状では、腹痛、嘔吐、下痢などが主に挙げられますが、乳アレルギーにおいて便秘症状が生じることもあります。よろしければ、以下もご覧ください。
食物アレルギーと急性膵炎②
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/4585

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