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ウェステルマン肺吸虫について

2024.08.26

投稿者
クミタス

人に寄生する寄生虫の1つに肺吸虫があり、日本で人に感染する肺吸虫に宮崎肺吸虫とウェステルマン肺吸虫が挙げられます。肺吸虫に汚染した食品を摂食して食中毒を起こすことがあります。

ウェステルマン肺吸虫においては、肺吸虫に汚染したサワガニ、モクズガニ(サワガニは宮崎肺吸虫とウェステルマン肺吸虫が寄生、モクズガニはウェステルマン肺吸虫のみ)や、肺吸虫に汚染したサワガニ、モクズガニを食べるなどして汚染されたイノシシや鹿の肉などが、感染源として挙げられています。経口摂取した肺吸虫の幼虫は腸壁、腹腔、横隔膜を通り、胸腔を穿通して肺に侵入して成虫となり、肺に虫嚢を作り寄生します。ウェステルマン肺吸虫(3倍体型)の感染の場合、虫体は肺の虫嚢内で成熟するため、魚腸様の血痰を喀出し、ウェステルマン肺吸虫(2倍体型)や宮崎肺吸虫の感染では、自然気胸、胸水貯留、胸痛などが主な症状であることが多く、肺以外の異所寄生の場合は、虫体の侵入部位に応じた症状が発現する、と見られています。

市販の食用サワガニを検査したところ、検体の約 20%がウェステルマン肺吸虫とあるいは宮崎肺吸虫に汚染されていたとの報告もあります。ウェステルマン肺吸虫(2 倍体型)感染サワガニを 55℃で 5 分間加熱、あるいは冷凍(-18℃・ 100分間以上)すると、その体内のメタセルカリアは死滅し感染性が消失したとの報告、ウエステルマン肺吸虫に汚染されたイノシシ肉、鹿肉において、冷凍処理(-18℃、24時間)を行うことで感染性が消失したとの報告もあり、冷凍、そして加熱(中心温度75℃、1分間)は、シカ肉およびイノシシ肉を介した肺吸虫感染の予防に有効との示唆もなされています。
今後も情報を更新していきたいと思います。

出典・参照:シカ肉を介したウェステルマン肺吸虫症の感染リスク
食用として販売されていたサワガニからの肺吸虫メタセルカリアの検出(続報)

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