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消化酵素の状態と離乳食の開始時期③~脂質編

2015.07.10

投稿者
クミタス

消化酵素の状態と離乳食の開始時期①~糖質編消化酵素の状態と離乳食の開始時期②~タンパク質編に続き、今回は主に乳児期での脂肪の消化についてお送りします。




 

脂肪の消化


□脂質を脂肪酸とグリセリンに分解する膵リパーゼ
膵液中に存在します。
胎生20週ごろに活性が出始めますが、乳児期の間は十分ではありません。

□脂質を脂肪酸とグリセリンに分解する腸リパーゼ
腸液中に存在します。

胃液中にもリパーゼは存在しますが、胃の酸度が強すぎると反応しません。乳児期は胃液の分泌が活発でなく胃液のpHが高くないことで胃液中のリパーゼがはたらき、胃でも乳児期には脂肪の消化が行われます。

また乳児期では膵リパーゼの活性が低いため舌リパーゼや母乳中の胆汁酸塩促進性リパーゼでも脂肪分解を補っており、母乳に含まれる脂肪は乳児期でも消化しやすい面があります。

脂肪は無くても良いものではなく脂肪を摂取しない状態を2週間以上続けると、特に新生児では必須脂肪酸欠乏をきたすことがあります。必須脂肪酸(リノール酸、α–リノレン酸、アラキドン酸)の吸収が低いことで、成長遅滞、鱗屑状皮膚炎、脱毛、血小板減少、水分摂取の増加と水の体内への貯留、生殖不全、代謝亢進をおこす恐れがあるため2~3週間以内に経口、経腸栄養、脂肪乳剤などでの摂取が必要になります
(必須脂肪酸欠乏の予防には、総エネルギー量の最低4%以上を脂肪で摂取する必要があります)。

また低体重児は一般的に消化酵素の活性が低いと言われています。
離乳食を与える時期についても、1人ひとりの発育状態を見ながら徐々に進めていくという視点も大事かと思います。
ただ、食物を摂取することで酵素活性に刺激を与える面もありますので、過度に慎重になり過ぎず、消化のよいものを与えながら成長を促していくことも重要です。

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