食品によっては薬剤の効き方を強くしたり、効き方を弱くすることがあります。今回は、アレルギー様症状を誘引する仮性アレルゲンと薬の組み合わせのなかで、留意しておきたいものを中心にお送りします。
ヒスタミンとイソニアジド
イソニアジドは商品名イスコチンの結核治療薬でも知られるMAO阻害薬です。ヒスタミンを多く含む食品を摂取するとアレルギー様症状が出ることがありますが、ヒスタミンを含む食品にイソニアジドの組み合わせで、症状が強く出る可能性があります。
アミノ酸のヒスチジンはヒスタミン生成菌が付着すると分解されヒスタミンに変わります。ヒスタミンは細菌によって無毒なヒスタミナーゼへと代謝されますが、イソニアジドはヒスタミナーゼへの代謝を促す酵素のはたらきを阻害します。ヒスタミンを多く含む食品によってアレルギー様症状が出ますが、イソニアジドを含む薬剤を服用している方は、ヒスタミンの血中濃度が高くなり、ヒスタミン中毒症状が出やすくなる可能性があると言われています。
ヒスタミンを含む食品:
野菜(なす、たけのこ、セロリ、トマト、ほうれん草、ジャガイモなど)
肉(牛肉、鶏肉、豚肉など)
発酵食品(チーズ、赤ワイン、みそ、しょうゆ)
魚(サバ、いわし、さんま、まぐろ、かつおなどの赤身魚。干物や缶詰も)
症状:食後数分~60分程で紅潮、浮腫性紅斑、痒みを伴うじんましん、頭痛、発熱、吐き気、下痢といった症状が出ることがあり、高濃度で摂取量が多い場合はまれに血圧低下などショック症状に至る場合があります。
前日の晩にイソニアジドを服用し翌朝に魚を食べて症状が出たとの報告、症状が9時間続いたとの報告もあります。
症状緩和:抗ヒスタミン剤の投与により症状が緩和されます。
対応:イスコチン服用中は、マグロやブリ、ハマチなどヒスチジンが
多く含まれる食品は新鮮なものを食べるようにするのが望ましいとしています。
参考:イスコチン説明文書(第一三共)
https://www.medicallibrary-dsc.info/useful/guidance/pdf/ALL1P019.pdf
ヒスタミンを多く含む食物を摂取する際に、唇や舌先にピリピリとした刺激を感じる場合があります。その場合は食べずに処分することが望ましいです。
またヒスタミンは加熱で分解されず、魚に含まれるヒスタミンは冷温でも増殖しますので、特に切り身などは新鮮なものを早めに調理し頂くようにしましょう。
ちなみに、好酸球はヒスタミナーゼを放出します。好酸球はアレルギー症状において有害要因となり得る面がありますが、ヒスタミンによる食中毒においては抑制物質となるヒスタミナーゼを放出し反応抑制に関わる面があります。
チラミンとイソニアジド(イスコチン)、チラミンとセレギリン(エフピー)
チラミンはアミノ酸のチロシンから生成され、交感神経細胞内に取り込まれるとノルアドレナリンを放出し交感神経を興奮させます。
ノルアドレナリンやアドレナリンの量はMAO(モノアミンオキシダーゼ)によってコントロールされていますが、MAO阻害薬を服用すると、MAOの働きが抑制され交感神経が興奮状態になります。その状態でチラミンを含む食物を摂取すると、さらに交感神経が興奮し、血圧が急激に上昇することがあります。
この作用をもたらすMAO阻害薬として、上記のイソニアジド(イスコチン)、塩酸セレギニンを含む抗パーキンソン薬(エフピー)等が挙げられます。
チラミンを含む食品:
アボカド、トマト、チョコレート、チーズ、ニシンの酢漬け、鶏レバー、なすなど
症状:血管収縮作用があり、血圧が上昇した後は血管拡張が起こり、頭痛、動悸、顔面紅潮、発汗、吐き気・嘔吐などを起こします。
対応:服用中にはチラミンを多く含む食品の摂取は控えるのが良いかと思います。
イソニアジド(イスコチン)は、ほかにそら豆、バナナやパイナップル、アルコールとも良くない組合わせです。
また、MAO阻害薬を服用中の方は、食品との組み合わせについても確認できると望ましいかと思います。
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少しあっさり目な印象でし…