ピーナッツアレルギー発症予防に関するコンセンサスステートメントが、2015年8月31日にアメリカを始め、日本など世界の10の学会で発表されています。
米国小児学会(AAP)では、早期にピーナッツを導入していくことが、ピーナッツアレルギー発症予防に貢献できるとし、来年、アメリカ国立アレルギー・感染症研究所から正式なガイドラインが発行されるとしています。
Consensus Communication on Early Peanut Introduction and the Prevention of Peanut Allergy in High-Risk Infants
日本アレルギー学会のHPにて本ステートメントの和訳要約文を参照できます。
https://www.jsaweb.jp/modules/news_topics/index.php?content_id=217
本ステートメントの背景に、以下調査報告があります。
●対象は?
ピーナッツにアレルギー発症の可能性の高いと考えられる、重度の湿疹、卵アレルギーのいずれか1つでも該当する4~11ヶ月の乳児640人のうち、皮膚プリックテスト(SPT)により対象を分け、ピーナッツの皮膚プリックテスト(SPT)で陰性であった542人をランダム化し530人を対象にする調査と、直径1~4㎜の膨疹が見られた陽性(軽度反応)の98人を対象にした調査で、それぞれにピーナッツを摂取除去する群と摂取継続する群に分け、アレルギー発症率を調査した報告が2015年2月におこなわれています。
(すでにピーナッツアレルギーを発症した乳児は危険性が高いとして研究対象から除外)
●どの程度摂取していたか?
ピーナッツ摂取継続する群では、1週間にピーナッツタンパク質6g以上を摂取継続するレベルになり、1週間で少なくとも24個のピーナッツ、もしくはティースプーン6杯のピーナッツバターを、調査時点の60か月齢までの間、継続摂取していた、とあります。
●アレルギー発症率の違い
・皮膚プリックテスト(SPT)で陰性だった530人においては、60か月齢時点のピーナツアレルギー発症率は、ピーナツ摂取除去群が13.7%であったのに対し、ピーナツ摂取継続群では1.9%
・皮膚プリックテスト(SPT)陽性であった98人においての60か月齢時点のピーナッツアレルギー発症率は、ピーナツ摂取除去群が35.3%であったのに対し、ピーナツ摂取継続群では10.6%
・ピーナツ摂取継続群では、ピーナッツの特異的IgG4抗体値上昇、除去群ではピーナッツの特異的IgE抗体価の上昇がみられた
出典:Randomized Trial of Peanut Consumption in Infants at Risk for Peanut Allergy
摂取除去は、必要最低限にとどめるべきであるのは前提であり、既にアレルギー症状のある方が自己流に積極摂取をすることは危険行為ですが、ピーナッツやそばといった、アレルギー発症が怖いために離乳食期~幼児期に与えないようにしている方には、意識しておきたい点でもあります。
ただ、上記URLの日本アレルギー学会内にも訳文があるように、環境による差異がどの程度あるか、本調査で実施した摂取量より下回った(あるいは上回った)場合や調理法、一週間の摂取量にばらつきがある場合、中断など継続摂取ができなかった場合の効果やリスク面については不明な部分があります。
園など外出機会があることも含め家庭で、5年間一定量の摂取などを管理する(誤食管理含む)というのは、負担も発生する話ではあるので、途中中断によるリスクと継続摂取の実現性も併せて判断する部分もあるかと思います。
日本において、離乳早期にピーナッツを積極的に摂取すべきかどうかについては、今後の見解もまた出てくると思いますので、また取り上げていきます。
タイナイ おこめ食パン
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ストロベリー・ジュレップ
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