Author クミタスさん
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2015.09.27
革製品を着る機会も増える時期でもありますが、革製品と接触した皮膚が痒くなる場合は、革製品に残留した金属のクロムによる接触性皮膚炎かもしれません。
皮を革にする、なめし加工時に使用される溶剤として、クロムが使用されることが多く、革が経年変化する中で、接触する皮膚からクロムが吸収されることがあります。
・カバンの持ち手
・革靴
・革製ソファ など
クロムの中でも六価クロムの毒性については、以前から皮膚や粘膜の潰傷、気管支炎、腎障害などが挙げられています。
現在、クロムなめしにおいては三価クロムが使用されていますが、三価クロムが燃焼など酸素とともに熱処理をされることで三価クロムの一部が酸化して六価クロムに変化してしまう恐れがあることが示唆されています。
また、かつては、重クロム酸ナトリウムのような六価クロム液に硫酸酸性等で還元剤(グルコース、亜硫酸水素ナトリウムなど)を加え、三価クロムに還元してなめし溶剤に使用していた時代もあり、その時代の産物が家庭などにまだ残存している可能性もないわけではないかもしれません。
クロムは食品内にも含まれており、その中でもほぼ三価クロムが占め、海藻、肉類、魚介類など、ひじき240μg/kg、豚肉30μg/kg、さんま20μg/kg、ばれいしょ、玉ねぎ、マッシュルーム、紅茶、ココア、チョコレートにも多く含まれています。
クロムは必須栄養素となっていますが、通常の食事から摂取不足になることは少なく、海藻もよく摂取する日本人においての推定一日摂取量は、成人で46.6μg/日未満と、十分な数値になっています。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2015年版)」では、それまで1日あたりの摂取推奨量、成人(18~69歳)男子で40μg、成人女子で30μgを設定していたところから、目安量として成人(18~69歳)男女で10μg/日、0~5か月男女で0.8μg/日、6~11か月男女で1.0μg/日へと変更しています。
また糖尿病予防などの目的で食事からの摂取以外に付加的にクロムを摂取することは避けるべきである、としています。
参考:日本人の食事摂取基準(2015 年版)(案)
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000040331_3.pdf
クロムはステンレス調理器具に保護皮膜を付ける際にも使用され、微量ですが質のよくないステンレス調理器具からクロムが溶出し、摂取することもあります。
クロムによるなめし以外に、タンニンによるなめし、クロムとタンニンのコンビネーションなめしによる革製品もあります。
フルベジタブルタンニンによるなめし革製品もあり、金属アレルギーの方の選択肢となるかもしれません。
革製品と接触する部位に発疹など皮膚症状が続く場合は、早めに受診しましょう。
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