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摂食てんかんについて

2024.03.14

投稿者
クミタス

特定の刺激によりてんかん発作を生じる反射性てんかんには、経口摂食時に発作を繰り返し認める摂食てんかんも含まれます。摂食てんかんの頻度はてんかんの中で多くはありませんが、今回は、ナッツ類の摂取により摂食てんかんを発症したと考えられた例を掲載します。

40歳代男性。夕食摂取後に就寝していたところ,患者のCPAP(シーパップ)が外れていびきをかいていることに妻が気づいた。普段と様子が違うため呼びかけたところ反応がなく,舌咬傷を認めたために救急要請となった。救急隊接触時には意識レベルはGlasgow coma scale(GCS)でE4V5M6まで回復していた。搬送時は、気道は開通して会話可能だった。酸素投与なしでSpO2は94%,呼吸数16/minで呼吸苦の訴えはなし。心拍数95/min,血圧120/77mmHg、意識レベルはGCSでE4V5M6、瞳孔所見も異常を認めなかった。体温は36.6℃で、舌咬傷を認めた。皮膚表面の発赤、粘膜浮腫なし、共同偏視なし、神経診察上有意な所見は認めなかった。
病歴聴取にて過去1年間に痙攣発作で2回当院に救急搬送された既往があり、カルテの記載からいずれもナッツ類を摂取した直後であったことがわかった。当時の検査結果からは異常な所見は認められず,本人の希望もあり精査はされず、抗痙攣薬の処方はされていなかった。今回の搬送時には痙攣は頓挫しており、直接痙攣様式は確認できていないが、妻からの聴取では強直性痙攣があったと考えられた。痙攣発症から頓挫までの詳細な時間経過は不明。以前のカルテを参照すると突然意識を消失したとのことであり、今回発症した際の状況については詳細不明だが急性発症と考えられた。血液検査所見と舌咬傷の身体所見から痙攣後の意識障害であると判断され、ナッツ類摂取後に生じていることから摂食てんかんも疑われたが、休日に入院したこともあり脳波検査などの精査を行うことは困難であったため,経過観察目的に入院後、レベチラセタム(1日1,000mg)の静注投与を開始した。入院中は痙攣を認めず、入院2日後にレベチラセタムを同量の内服に変更し退院となった。後日,脳神経内科外来で施行した脳波検査にて,閉眼安静時に右前頭部を中心としたθ burstを認め,同種類の食物を摂取した後に生じた状況から摂食てんかんの診断に至った。内服を継続し、外来にて3か月ごとに診察をしているが、痙攣発作は認められていない(出典・参照:ナッツ類を摂取したことにより摂食てんかんを発症した1症例(A case of eating epilepsy characterized by an epilepsy attack that occurred following the consumption of nuts))。
 
小児での発症例もあり、発生機序においては様々な仮説が考えられていますが、発症年齢や原因食物などの傾向なども含め、今後も追記していきたいと思います。

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