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春~秋まで飛散するイネ科植物の花粉と食物アレルギー

2015.06.09

投稿者
クミタス

イネ科植物花粉の飛散時期


ハンノキ、シラカンバ、スギ、ヒノキ花粉は6月に入り飛散が落ち着き、夏の終わりごろからはブタクサ花粉、ヨモギ花粉、クワ科のカナムグラ花粉も飛散します。
4月後半から10月ごろまで飛散する花粉に、イネ科植物があり、イネ科植物であるハルガヤ、カモガヤ、オオアワガエリ、ネズミホソムギ花粉などは7月ごろまでが飛散時期になります。

花粉症に関与するイネ科植物は20種ほど


イネ科植物の中で花粉症に関係するものは、カモガヤ、ハルガヤ、オオアワガエリ、ギョウギシバ、ネズミホソムギ(ホソムギ、ネズミムギ含む)、マグサ、スズメノテッポウ、アシ、ススキなど、約20種ほどあります。
牧草系の雑草が多く占めるのですが、牧畜や酪農が重要な産業であるヨーロッパにおける花粉症は、イネ科植物花粉が原因であることが多く、またヨーロッパ地中海沿岸ではオリーブ花粉症も多くなります。
イネ科植物の花粉間では、共通抗原性があり、1つのイネ科植物の花粉に症状がある場合、他のイネ科植物にも花粉症やアレルギー症状が出ることがあります。アシ花粉、ススキ花粉などは8月から飛散が多くなりますが、カモガヤに花粉症がありアシ花粉にも花粉症の症状が出るようになった場合は、連続して長期間、症状があることもあるとの示唆も見られています。

カモガヤも外来種


日本にもイネ科植物の在来種はありますが、牧草の輸入や帰化により(国外から入って意図せず自生するようになったことで)外来種が増えてきました。キク科とイネ科は帰化植物が多いのですが、ネズミムギ、ハルガヤ、オオアワガエリも、そしてカモガヤも外来種です。
カモガヤ(オーチャードグラス)はもともと日本には自生しておらず、ヨーロッパ原産で、アフリカ、アジア、オセアニア、南北アメリカに分布しており、1860年代にアメリカ東北部から北海道に牧草として導入され始めたことを機に、日本全国に定着していきました。
現在、カモガヤはオオアワガエリとともに要注意外来生物リストとして挙げられる100余の植物の中の1つになっています。定着イネ科植物の多様化が、イネ科植物花粉への花粉症発症に関与しているかもしれません。

カモガヤ花粉と症状の特徴


カモガヤは0.4~1.5m程度の高さの多年生植物です。花粉粒子の大きさを比較すると、ブタクサ花粉の直径は20μm、スギ花粉は約30μm、イネ花粉は約20~40μmになります。
スギ花粉は200kmまで飛散することがありますが、イネ科植物はその高さからも花粉飛散は数m~数km(風の強さにも依りますが数10m内であることも多い)と、スギ花粉と比較するとイネ科植物が生育する場所からそれほど離れていません。
カモガヤは耐寒性や耐陰性があり、北海道から九州まで、涼しく暗い場所や日当たりの良い場所にも生育します。
畑地、河原、土手、空地、牧草地、樹園地、道端、荒地などでススキ様の雑草を触ったり、バーベキューなどで長時間河原にいるとイネ科植物花粉を多く吸収しやすくなります。

また、イネ科植物の花粉の場合、スギ花粉の症状にもある鼻水や鼻のつまり、眼のかゆみや充血に、耳の奥のかゆみ、そして全身のむず痒さ以外に、咳などの呼吸器の症状を起こしやすいとの示唆もあります。吸入系アレルゲンの中では比較的症状が強く出るとの意見もあります。

交差反応のある食品と特に留意したいアレルギー症状


花粉症の症状を経験している方、花粉に感作している方では、その花粉と交差反応のある果物・野菜にアレルギー症状(PFAS:花粉関連食物アレルギー症候群)が出ることがあります。
イネ科植物の花粉と交差反応がある果物・野菜には以下などが挙げられます。
ウリ科(メロン、スイカ)、ナス科(トマト、ジャガイモ)、キウイ、オレンジ、ピーナッツ
これらなどを食べて舌や口の中・唇・喉のあたりがピリピリ、イガイガする・痒み、涙が出る、眼の痒み、鼻水・鼻の詰まり、顔が腫れる、赤くなる、じんましん、喉の閉塞感、咳や喘息など呼吸器症状、腹痛、下痢など、特に首から上に症状がある場合は、OAS(口腔アレルギー症候群)である場合があります。
イネ科植物は丈夫な雑草として生活圏にも生育しています。即時反応として花粉吸入による呼吸器症状誘発の可能性を考慮の上、症状出現歴のある方は、雑草の近くに長時間立ち寄らないようにするのも良いかもしれません。

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